木曜日からアメリカの補綴学会の中でもひと際歴史と伝統あるGNYAP (Greater New York Academy of Prosthodontics)という学会が始まりました。
本大会に先立ち、木曜日は補綴科レジデント向けの教育講演が行われます。
今回は、スイスのベルン大学教授ドクター・ブーザーとタフツ大学補綴科ディレクターのドクター・マラメント。
ブーザー教授は前歯審美ゾーンにおいて、抜歯後インプラント埋入の時期を即時、早期、遅期に分け、それぞれどういった基準でどのような術式を選択すべきなのか、オペの時期を決定すべきなのかについてレクチャー。
マラメント教授は、可撤式補綴物(とりはずし出来る入れ歯)と固定性の補綴物(インプラント)のそれぞれ選択基準、診断学や材料学まで幅広く網羅した内容でした。
ところで今回、3年前にインターナショナルレジデントだったムハンマドが、コロンビア大学の補綴科レジデントにアクセプトされたらしく、3年ぶりに再会しました。
現在コロンビア大学補綴科の3年目には台湾からきたセリンもいますし、ニューヨーク大学の補綴科からは、コロンビア大学に進学するレジデントが多くいます。
マラメント教授がレクチャーの中でコメントしていました。
今月の売上げがいくらだとか、あそこの診療所はドクターを何人雇っているとか、そんなビジネスライクなことばかり話をして人生つまらないぞ。レジデンシー時代に知識やスキルを学ぶのも大事だが、こうした学会を含め、友人とのフレンドシップを大切にした方がよい、と。
その点、ニューヨーク大学歯学部はインターナショナルコースがあり、レジデントも各学年6名と大所帯。矯正科、歯周科、歯内療法科なども各学年6名以上いるので、ネットワークが全世界に広大に広がります。
講演後の懇親会ではご覧の通り、ニューヨーク大学の同窓生は大人数。学会でも、数は力なりということで、圧倒的な存在感を発揮しています。
元々私の両親は歯科医ではありませんし、就職後も起業したてのベンチャー企業のようにスタッフが5人くらいしかいない診療所に勤務していました。
ですから、こうして巨大な組織に所属し、毎年学会でこうして顔を合わせ旧交を温め合える仲間がいるというのは、想像していなかっただけに余計に嬉しく思います。
ドクター・マラメントが言及していた通り、知識やスキルを習得し、経験を積むことができ、ほっとしています。それが目的の留学ですから。
ただし、それ以上にこうした仲間できたこと、世界中に広がったネットワーク、友情もこれからの人生でかけがえのない宝物になるでしょう。
自分でいうのもおかしいですが、めずらしく帰属意識、アイデンティティを感じる瞬間です。
懇親会のあとは、少し街を歩いてみました。サンクスギビンの連休を終え、街はすっかりクリスマスモード。
ニューヨークで迎えるクリスマスも今年で5回目。開業準備や、講演の準備で相変わらず忙しいのは忙しいですが、今年はクリスマスシーズンの雰囲気を楽しむ余裕が少しあるようです。
白 賢
「お知らせ」
現在、ニューヨーク大学歯学部補綴科にて勤務しており日本におりません。
BS歯科富山 インプラントオフィスでの初診、無料相談などは2015年12月より受付を開始致します。