歯科医の評価は「腕」だけで決まるのか?


 せっかくニューヨークにいるのにもったいない。

何故それほど生き急ぐ?

もう少しゆっくりニューヨークでの生活も楽しめばいいのに、と日本に帰国する度に言われます。

それはその通りだと思います。

ただそれ以上に、

あぁでもないと考えを巡らせながら治療計画を立てたり、
ベストな治療方法を考えてみたり、
スライド作りのために論文を読み込むこと等も、

ただ単純「楽しい」と感じるのも事実で、ついのめり込んでしまう自分がいます。

最近はどこまで「仕事」でどこまでが「遊び」なのか、いよいよ分からなくなってきました。

一方毎日充実はしているのですが、様々な症状を訴えてクリニックに駆け込んでくる患者さん達。

その中には「医原性」が疑われるものもあります。

そもそも歯科医の評価とは、何で決まるのでしょうか。

一般的に歯科の仕事の評価は「腕」で評価される傾向にあります。

ですが「腕」だけでなく、私は「口」、「頭」、「心」も欠かせない要素ではないかと考えています。

患者さんの訴えを聞き入れ、その気持ち、真の主訴を感じとる観察力とそれを受け止める懐の深さ。

自分のスキルでは手に負えないと判断したケースには手をつけない潔さ自身の診療に対する信念。

ヒトとしての器量の大きさ(心)

次に口腔内をみて何が問題なのかを考察し、幾重にも重なった病因を推測し、読み解き、答えを導きだせる思考力や診断力(頭)

それらを患者さんが納得、理解できるよう説明出来るコミュニケーション力(口)

結局はそうした持てる能力を総動員して患者さんからの信頼を得ること

それが出来なければ何も始まりません。

その域に到達した時に初めてスキル等の「腕」が生きてくる。

ただ実際は、患者さんの目線から捉えると、何がいい歯医者の基準かは「腕」がいいかよりも、
「ホームページがよく出来ている」
「優しそう」
「説明してくれる」
「自宅や会社から近い」
「クリニックが清潔、新しい」
くらいしか判断しようがないのが現実かもしれません。

そもそも「腕」が良いかは素人には判断しかねませんから。

今日は資料整理の合間に、ワシントンスクエアパークに寄り道。

そんなことを考えていると夕方まであっという間でした。


こうして学びを整理しつつ考察し、熟成させる。

そうした「熟成期間」は必要不可欠。

「熟成肉」ではありませんが、思考もじっくり寝かせることでより一層味わい深くなる。

スキルや知識だけでなく、患者さんへの対応等についても立ち止まり考える。

同時に自身の臨床を超えた視点で、仕事に取り組む姿勢そのものをじっくり振り返る

そのための期間という意味でも、今回の留学は素晴しい機会でした。


「お知らせ」
現在、ニューヨーク大学病院に勤務しており日本におりません。
BS歯科富山 インプラントオフィスでの初診、無料相談などは2015年12月より受付を開始致します。