2015年11月6日金曜日

リクアメントとレジデントの心理

専門医課程では、プログラム修了のために終らせる補綴物(クラウン、ブリッジ、、部分入れ歯、総義歯等)の数が決められています。

ざっと書き並べるとこんな具合です。

メタルボンド(単冠の被せもの)155
オールセラミックス 25
エンド処置歯 20
ベニアクラウン 20
部分床義歯20
総義歯(上下セット)10
総義歯(片顎のみ)8
顎顔面補綴1
オーバーデンチャー 5
インプラント埋入 10
全調節性咬合器の使用1
フルスプリントアーチ6

一見、それほど多くないように見えます。

コンサルテーションから始まりコントラクト、資料採集、診療の準備、片付け、実際の治療、技工、ファカルティとの打ち合わせ、他科への紹介などすべてレジデントの仕事。

これだと一日3人から4人診療するのがやっと。

そのかわり、患者さんとの関わりは日本とは比べ物にならない程、親しくなります。

患者さんとはドクターと患者というより、治療というゴールへ向かってともに進んでいくパートナーのような関係。

補綴科での治療期間は少なくても一年。

その点患者さんの性格、歯科治療への理解度、協力度、経済的状況をしっかり見極めるようアドバイスされます。

患者さんとの関係にトラブルを抱えていては、治療が進まないからです。

さらにプログラム開始当初、上級生からアドバイスされたこと。

それは意外にも、矯正やペリオ症例の紹介はあまり受けるな、というもの。

理由は時間ばかりかかって終わらないのと、何かトラブルになって紹介してくる場合が多いからとのこと。

3年経って振り返ってみると、彼らのアドバイスしたいことがよく理解できます。

学びの現場での理想と現実の葛藤、この3年間大いに悩みました。

ペリオのレジデントからの紹介は、補綴科レジデントが治療計画を立案する前にすでにインプラントを埋入しているケース等もまぎれこんでいます。

そうしたフライング気味の症例への対応に一年目は四苦八苦していました。

中にはインプラントが脱離した後、こちらに回って来たトラブルケースなども。

上顎インプラント4本支台のオーバーデンチャー予定で、最初に2本埋入したが脱離し再オペというケース。

これは補綴科のファカルティが怒って、ケースを取り上げてしまいました。

患者さんに説明してまずは総義歯を作り、結局それを使ってみる。

それでもダメだったら、インプラント支台のオーバーデンチャーにしましょうということに。

ペリオはペリオで数多くのケースをこなそうとする気持ちは分かります。

インプラントが普及して以降、歯周科のレジデントは重度歯周病患者のケースが、歯周治療そのものから、抜歯してインプラントへ移行してしまいました。

もはや歯周科なのかインプラント科なのか分からない状態。

だったら、出来るだけ多くのインプラントのオペをこなしたいと思うはず。

補綴科でもインプラントの埋入オペを行います。

サイナスリフトや結合組織移植以外のちょっとした骨移植やソケットリフトのケース等もオペしてしまうこともあります。

補綴科レジデントもそこまでやってしまうと、もはやインプラント科やペリオ科との境界もなきに等しい。

最近は歯内療法のレジデントですら、インプラントオペのリクアメントがある状態。

そうした状況なのでペリオのレジデント達が少しでも、、と思うのは当然でしょう。

ペリオのレジデント達だけが悪いという話ではありません。

一方で補綴科レジデントは、ノルマがあるので致し方ない部分もあります。

リクアメントの到達を急ぐあまり、ペリオを軽視ししがち。

歯周科で歯周病の診断、治療がままならないのですから、そうなってしまうのも致し方ないのかもしれません。

矯正科からの紹介も、ワックスアップに時間ばかりかかり治療が進まないケース(ワックスアップは当然補綴科レジデントの仕事)がほとんど。

そして矯正からの紹介はほとんどが10代の患者さんで、治療期間が長期におよび、ほぼ3年間で終ることが期待できない。。

インターディシプリナリーアプローチ。

響きは非常に良いのですが、、

3年間できちっと矯正、ペリオ、エンド、補綴のすべての治療が終るケースは、現実的にはあまりないように感じました。

実際、それぞれのプログラムで行われている診療のレベルはグローバルスタンダートと言ってもちろん差し支えありません。

ただしこうした矯正科、歯周科、歯内療法科との専門医によるアプローチは治療はプログラム修了後、日本に帰国してから本格的に取り組むことになりそうです。


歯周科レジデントとの合同カンファレンス


院長 白 賢

「お知らせ」
現在、ニューヨーク大学歯学部補綴科にて勤務しており日本におりません。
BS歯科富山 インプラントオフィスでの初診、無料相談などは2015年12月より受付を開始致します。


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