2015年11月9日月曜日

ニューヨーク大学歯科病院でサバイバルしながら学んだこと

今朝、こんな興味深い記事に目を通しました。

五郎丸歩が日本のスポーツ界に苦言 大舞台=プレッシャーは間違い

海外では、自分の言いたいこと、伝えたいことをはっきりと伝えなければ通じない、とよく言われています。

「自主性」、「自己主張」、おっしゃる通り大切でしょう。

こと私の所属する補綴科の場合は、何年も一緒にチームを組んで治療を進めていくので、ファカルティとの関係は非常に重要です。

自分の考えていること、思っていることをはっきりと主張しないとファカルティから「このレジデントは何も分かっていない、時には能力不足」というレッテルを貼られる可能性もあります。

したがって、時にはアピールも間違いなく必要になります。

とは言うものの、「聞き方」や「言い方」などの程度も大事です。


あまりに強く自己主張し過ぎたり、ファカルティの考えを真っ向から否定するように捉えられてしまうのも宜しくない。

私が実際に診療していて、苦しみどうしていいのか真剣に悩んだのは、
どこまで自分の素をさらけ出せばいいのか、
自己主張した方がいいのか、
言わない方が良いのか、
その判断やさじ加減が分からなかったことです。

生意気だと思われて、ろくなことはありません。

ファカルティもいいヒトばかりではないですし、なかにはプライドの塊のような方もいる。

いいから言う通りにしろという反論、意見を一切認めない、極めて高圧的な態度を取るファカルティも実際いました。

ここではそれぞれの特徴を見極め、ファカルティと上手にチームを組み、治療を進めていくことが物事をうまく運ぶための前提となります。

この点において、歯科の知識や経験は全く役に立ちません。

ただしファカルティも「このレジデントは臨床を分かっている」と認め受け入れると、程度の差はあれ、案外自由にやらせてくれます。

自己主張し過ぎて、生意気だと思われないように、遠慮ばかりして舐められないように。。

そのためには、やはりさりげなく自己アピールと謙遜のバランスという「高度なコミュニケーション力」が求められます。人間関係に細心の注意を払わねばなりません。

それをさらに英語で対処していくのは並大抵のことではありませんでした。

そこで私がとった対策、行動はありきたりですが、まずは「常に笑顔でいること」。

どんなに叱られても、英語が通じず露骨に嫌な顔されようが、とにかく笑顔で接し、受け流す。

患者さんに対しても、そうした対応を心がけていました。

そうやっていつも笑顔でいると、不思議なことにファカルティや患者さんも笑顔で接してくれるようになります。

笑顔でいたからと英語が出来るようになるわけでも、知識やスキルが向上することはありません。

しかし少なくてもクリニックにいる間はポジティブに、前向きでいられます。

笑顔、職場での人間関係、自己主張と謙遜のバランス。

もともと歯学部を卒業後、組織に所属したり、直属の上司と一緒に仕事をした経験がなかった私。

そんな「根無し草」の私には、本当にいい経験になりました。

日々生活する上での心持ち、患者さんへの対応の仕方、教わる側、評価される側の心情、部下の立場等を理解できるようになったのです。

そして何より感心し、意外だったのは、レジデント達が皆ファカルティに逆らったりせず、指示やアドバイスを素直をに聞き入れていたことです。

もちろん大学や診療科によって雰囲気は異なると思います。

アラブ系やラテン系のレジデント達はもっと強烈に、自身の治療計画や主義主張を舌鋒鋭く展開するのではないかと。

きっとファカルティを論破する勢いでディスカッションするのだろうと思い込んでいました

しかしそんな予想とは裏腹に、実際はどちらかというと、【権力にはなるべく逆らわない】といった振る舞い。

彼らが極めてオトナの対応をしていたことに、私はある種の衝撃を受けたのでした。


院長 白 賢

写真はスタッフのカルロスとペリオのレジデントだったフラビオと。

フラビオは約1年ぶりの再会。ファカルティとして歯学部生を教えに来ているそうです。










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