AEE, AAP, ACP Joint Symposium in Chicago 2014 Day1


今日から2日間に渡りシカゴで開催される歯周病、歯内療法、補綴各専門医が一同に会して行われるジョイントミーティング。

講演内容を少し紹介した。トップバッターは補綴専門医Dr.Lyndon Cooper。University of North Carolina 補綴科チェアーマンである。Topicは「The Value Proposition for Natural Teeth」、天然歯の価値の評価とでも言えばよいのだろうか。主な内容は以下の通り。バラエティに富んだ最新の論文を紹介しながら、天然歯の抜歯に対する持論を展開していた。

1 天然歯の喪失理由はカリエス、歯周病、破折、エンド等多岐に渡り、様々な研究がなされているが、抜歯の原因は多岐に渡っており、一つに断定は出来ないこと。また性別、年齢、学齢等との関連もある。

2 特に歯周病の見極めが大切であり、20代で抜歯するより30代、30代より40代で抜歯した方が、仮にインプラントになったとしても良いはず、という仮説もある。

3Short dental arch (SDA)短縮歯列とComplete dental arch、SDA with RPDとSDA without RPDの比較だと後者の方が小臼歯の生存率が低いというデータがある。

4 エンド、ペリオ、口腔外科、補綴、各専門医間において、抜歯判断、評価の違いが生じる。バイアスが生じるからこそ、このような学会が重要なのだ。治療方法の選択には患者の希望が取り入れられるべきである。

5  ただし、各専門医間で、インプラント治療に対する評価は変わらない。
Zitzmann et al. COIR 2011
6 補綴専門医は他専門医よりも保存修復の観点から治療計画、抜歯判断をする傾向がある。



7 抜歯や補綴、レストレーションに影響を与えるのは臨床家である。ただし膨大な量のデータや情報が溢れているので、その判断は大きく異なる。一つの歯よりも歯列全体のリバビリテーションを考慮にいれたレストレーションが重要である。


8 インプラントとクラウン、FDPの経済性の比較

ざっと箇条書きにするとこんな感じだが、このCooper教授はこうした臨床どっぷりの講演をするかと思えば、NIHから基礎研究でミリオンを超えるグラントを獲得していたりする。懐の深いというか守備範囲が広い。正真正銘、アメリカ補綴界を代表する補綴専門医、基礎研究者の一人である。他にも興味深い講演がズラリと揃っている。時間があるときに少しずつ、ここに掲載していくつもりだ。